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自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは?費用・効力・選び方を比較解説

2026.09.11

「遺言書を作ろうと決めて調べ始めたら、『自筆証書遺言』と『公正証書遺言』があると知った。費用も手間も違うようだけれど、結局どちらで作るのが正解なのか」——遺言書の作成を考える多くの方が、最初にぶつかる疑問です。

せっかく書いた遺言書が、たった一つの形式ミスで無効になってしまう。これほど残念なことはありません。本記事では、2つの方式を6つの項目で徹底比較し、自筆証書遺言が無効になった典型パターン、法務局の保管制度で「解決すること・しないこと」、そして2025年10月に約20年ぶりに改定された公証人手数料まで、最新情報でわかりやすく解説します。

この記事は、遺言書作成サポート・死後事務委任契約を専門とするウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂/提携:神楽坂法務合同事務所)が執筆しています。

遺言書は主に3種類

法律で定められた普通方式の遺言には、自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があります。このうち秘密証書遺言は、内容を秘密にしたまま存在だけを公証してもらう方式ですが、内容のチェックを受けられず無効リスクが残ることなどから、実務上ほとんど利用されていません。本記事では、実際の選択肢となる自筆証書遺言と公正証書遺言の2つを比較します。

自筆証書遺言と公正証書遺言の違い【6項目比較】

比較項目 自筆証書遺言 公正証書遺言
作成方法 全文・日付・氏名を自書し押印(財産目録のみパソコン作成可) 公証人が遺言者の意思を聴き取り作成
費用 無料(法務局保管を利用する場合は3,900円) 公証人手数料(財産額により変動、後述)
無効リスク 方式不備・内容の不備で無効になるおそれ 公証人が関与するため極めて低い
紛失・改ざんリスク 自宅保管ではあり(法務局保管で回避可) 原本を公証役場が保管するためなし
家庭裁判所の検認 必要(法務局保管の場合は不要) 不要
証人 不要 2名必要

一見すると自筆証書遺言は「無料で手軽」ですが、本当のリスクは費用ではなく「無効」と「実現不能」にあります。次で具体的に見ていきましょう。

自筆証書遺言のリアル:無効・トラブルになる典型5パターン

  1. 日付を「令和◯年◯月吉日」と書いた:日付が特定できないため無効です(最高裁判例)。作成日は年月日まで正確に書く必要があります。
  2. 押印を忘れた:自書・日付・氏名・押印は法律上の要件です。一つでも欠けると原則無効になります。
  3. 夫婦連名で1通の遺言書を作った:2人以上が同じ証書で遺言する「共同遺言」は法律で禁止されており、無効です。
  4. 訂正の方式を間違えた:加筆・削除・訂正には、場所の指示、変更した旨の付記・署名、変更箇所への押印という厳格なルールがあり、違反するとその変更は効力を持ちません。
  5. 財産の特定が不十分だった:「自宅を妻に」という記載では、不動産の登記手続きで通用しないおそれがあります。登記簿どおりの正確な表示が必要です。

形式は完璧でも、内容面の問題——遺留分への配慮不足、財産の漏れ、実現困難な指定——で相続人間の争いを招くケースもあります。

法務局の保管制度で「解決すること・しないこと」

2020年に始まった自筆証書遺言書保管制度を使えば、1通3,900円で法務局が遺言書を預かってくれます。誤解が多いポイントなので、効果を正確に整理します。

解決すること:紛失・改ざん・隠匿のリスクがなくなる/家庭裁判所の検認が不要になる/外形的なチェック(自書・日付・押印の有無など)を受けられる

解決しないこと:法務局が確認するのはあくまで形式面のみで、遺言内容の有効性は保証されません(法務局の案内資料にも明記されています)。財産の特定ミスや遺留分の問題、遺言能力の有無はノーチェックです。また、相続人へ自動的に通知される仕組みではないため、あらかじめ指定した方への死亡時通知を設定しておかない限り、遺言書の存在自体が気づかれないおそれも残ります。

「保管制度を使えば安心」ではなく、「保管の悩みは解決するが、内容の悩みは残る」——これが正確な理解です。

公正証書遺言が「確実」といわれる理由

公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が、遺言者から直接意思を確認しながら作成します。

  • 方式不備で無効になる心配が実質的にない
  • 原本が公証役場に保管され、紛失・改ざんの余地がない
  • 検認が不要で、相続開始後すぐに手続きに使える
  • 作成過程で公証人が本人の意思と判断能力を確認するため、後から「本人の意思ではなかった」と争われにくい

大切な人の生活がかかった遺言だからこそ、この確実性には費用以上の価値があります。

公正証書遺言の費用:2025年10月改定の新手数料で解説

公証人に支払う手数料は「公証人手数料令」で定められており、2025年10月1日に約20年ぶりに改定されました。手数料は、財産を受け取る人ごとに、その財産の価額に応じて算定し、合算する仕組みです。改定後の計算例を2つご紹介します。

  • 例1:財産500万円をお一人に相続させる場合:基本手数料13,000円+遺言加算13,000円=26,000円
  • 例2:財産1億円を妻お一人に相続させる場合:基本手数料49,000円+遺言加算13,000円=62,000円

※遺言加算は、遺言の目的財産の合計が1億円以下の場合に一律13,000円が加算されるものです。このほか、証書の枚数に応じた用紙代(1枚300円)が少額かかり、公証人に病院やご自宅へ出張してもらう場合は日当・交通費等が加算されます。

数千万円規模の一般的なご家庭でも、多くの場合は数万円台。財産の内訳と渡し方が決まれば正確に算出できますので、ウィルサポートでは文案のご提案とあわせて手数料の試算もいたします。

証人2名の壁——おひとりさまの意外なハードル

公正証書遺言には証人2名の立ち会いが必要ですが、誰でもなれるわけではありません。推定相続人や財産を受け取る人、その配偶者・直系血族などは証人になれないと法律で定められています。つまり、財産を渡す相手やその家族には頼めないのです。

かといって友人・知人に頼めば、財産の内容や遺言の中身を知られてしまいます。特におひとりさまにとって、証人の確保は現実的な壁になりがちです。ウィルサポートの遺言作成サポートでは、守秘義務を負う専門家による証人のご用意まで含めて対応しますので、この点のご心配は不要です。

結論:こんな方は公正証書遺言一択です

次のいずれかに当てはまる方には、公正証書遺言を強くおすすめします。

  • おひとりさま(相続人がいない、または疎遠)
  • お子様のいないご夫婦(兄弟姉妹が相続人になるため、遺言の確実性が生活を左右します。詳しくは子供がいない夫婦の相続の記事へ)
  • 不動産をお持ちの方(登記に直結するため、記載の正確性が不可欠)
  • 相続人以外の方や団体に遺贈したい方(相続人がいない場合の対策の記事もご参照ください)
  • ご高齢で、将来「本人の意思か」を争われるリスクに備えたい方

公正証書遺言 作成の流れ(ウィルサポートの場合)

  1. 無料相談・ヒアリング(財産と想いの整理)
  2. 財産調査・必要書類の収集代行
  3. 遺言文案の作成とご確認
  4. 公証人との事前調整、手数料の試算
  5. 証人2名の手配、作成当日の同行
  6. 作成後の保管サポート、遺言執行者のお引き受け

体調やご都合に合わせて無理のないペースで進められます。公証役場に出向くのが難しい方には、公証人の出張による作成もご案内します。

よくある質問

Q. 一度作った公正証書遺言は変更できますか?

A. はい。判断能力があるうちは、新しい遺言書を作成することで何度でも内容を変更できます。

Q. 先に自筆で書いた遺言書がある場合はどうなりますか?

A. 内容が抵触する部分については、日付の新しい遺言が優先します。方式の異なる遺言同士でも同じです。

Q. 入院中・施設入居中でも作成できますか?

A. 可能です。公証人が病院や施設、ご自宅へ出張して作成する制度があります(出張の加算費用がかかります)。

Q. 病気で字を書くのが難しくても大丈夫ですか?

A. 公正証書遺言は、遺言者が内容を口頭で伝え、公証人が文章化する方式のため、自書ができない方でも作成できます。

Q. 夫婦で1通にまとめて作れますか?

A. できません。共同遺言は無効です。お一人1通ずつ、それぞれの遺言書を作成します。

まとめ:迷ったら「確実に実現できる方」を

  • 自筆証書遺言は手軽だが、方式・内容の不備で無効になる典型パターンが多数ある
  • 法務局の保管制度(3,900円)は紛失・検認の悩みを解決するが、内容の有効性は保証されない
  • 公正証書遺言は、公証人の関与により確実性が最も高く、検認も不要
  • 手数料は2025年10月に改定。一般的なご家庭なら数万円台が目安
  • 証人2名の確保が難しい方も、専門家の手配サービスで解決できる

遺言書は「書くこと」ではなく「実現されること」がゴールです。ウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂)では、文案作成から公証役場との調整、証人手配、遺言執行までワンストップでお手伝いします。ご相談は無料。お電話は平日10時〜18時、メール(お問い合わせフォーム)は365日受け付けています。


執筆:ウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号オザワビル6階/提携:神楽坂法務合同事務所)

株式会社ウィルサポート