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相続人がいないと財産はどうなる?国庫帰属を避ける生前対策を解説

2026.09.09

「私には相続人がいない。コツコツ蓄えてきた財産は、死んだら国に取られてしまうの?」——独身で、ご両親もすでに他界され、ごきょうだいもいらっしゃらない。そんな「おひとりさま」の方から、よくいただくご質問です。

結論から言えば、相続人がいない方の財産は、一定の法的手続きを経て、最終的に国庫へ帰属します。その額は2024年度に約1,292億円と、この10年で約3倍に増えました。しかし、これは「何も備えなかった場合」の結末です。遺言書を作成すれば、お世話になった方や共感する団体など、ご自身が選んだ相手に財産を確実に残すことができます。

本記事では、相続人不存在の場合に財産がたどる道のりと、その手続きの意外な重さ、そして国庫帰属を避けてご自身の意思を実現するための具体的な生前対策を解説します。

この記事は、遺言書作成サポート・死後事務委任契約を専門とするウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂/提携:神楽坂法務合同事務所)が執筆しています。

相続人がいないと財産はどうなる?【流れを解説】

相続人がいない(相続人不存在の)場合でも、財産が自動的・即座に国のものになるわけではありません。次のような法的手続きを経ます。

  1. 相続財産清算人の選任:債権者などの利害関係人や検察官の申立てにより、家庭裁判所が相続財産清算人(弁護士等)を選任します。
  2. 公告と清算:相続人を捜す公告や債権者への公告が行われ(この期間は6か月以上)、未払いの家賃・医療費・税金などの債務が財産から支払われます。
  3. 特別縁故者への分与:故人と特別の縁故があった人が家庭裁判所に申し立て、認められれば、財産の全部または一部を受け取れます。
  4. 残りは国庫へ:それでも残った財産が、最終的に国庫に帰属します。

つまり国庫帰属は、1年前後に及ぶこともある長い清算手続きの「終着点」なのです。

国庫に帰属する財産は、10年で約3倍に

最高裁判所の司法統計に基づく報道によれば、相続人不存在により国庫に帰属した財産は2024年度に約1,292億円にのぼり、10年前の約3倍に増加しています。背景には、生涯未婚率の上昇と単身高齢世帯の増加があり、この流れは今後も続くと見られています。「相続人がいない」は、もはや特別なことではないのです。

誰も申し立てなければ?——放置される財産と、困る周囲の人たち

見落とされがちですが、相続財産清算人の選任には申立てが必要で、申立人は家庭裁判所に予納金(事案により数十万円から100万円程度に及ぶ場合もあります)を納めることが求められます。故人のために、これだけの費用と手間を負担してくれる人が現れるとは限りません。

実際、シンクタンクの調査では、親族等に引き取られず自治体が火葬を行った死亡者は2023年に約42,000人(同年の死亡者総数の約2.7%)と推計されています。誰も手続きをしなければ、住まいは空き家となり、大家さん、入居していた施設、医療機関などが対応に苦慮することになります。

生前の備えは、ご自身の意思を実現するためであると同時に、お世話になった周囲への最後の配慮でもある——私たちはそうお伝えしています。

特別縁故者として財産を受け取れる人・受け取れない人

特別縁故者として認められ得るのは、主に次の3類型です。

  1. 故人と生計を同じくしていた人(内縁のパートナー、事実上の養子など)
  2. 故人の療養看護に努めた人(献身的に介護をした知人など)
  3. その他、故人と特別の縁故があった人

ただし、この制度には大きな不確実性があります。申立てができるのは清算の公告期間満了後3か月以内という限られた期間で、認められるかどうか、いくら分与されるかは、すべて家庭裁判所の判断次第。「きっと縁故者として認めてもらえるだろう」という期待に、大切な人の生活を委ねるのはあまりに不確実です。

お世話になった人・内縁のパートナーに残すには、遺言書しかない

ここで押さえておきたい重要な事実があります。内縁関係(事実婚)のパートナー、献身的に支えてくれた友人・知人には、法律上の相続権が一切ありません。何十年連れ添っていても、です。

渡したい相手が決まっているなら、不確実な特別縁故者制度に頼るのではなく、遺言書で明確に指定する。これが唯一にして確実な方法です。

遺贈・遺贈寄付の実務ポイント

遺言によって相続人以外の人や団体に財産を渡すことを「遺贈」といいます。実現のためには、いくつか実務上のポイントがあります。

特定遺贈と包括遺贈の違いを理解する

「預金のうち500万円を◯◯に」と特定の財産を渡すのが特定遺贈、「全財産の2分の1を」と割合で渡すのが包括遺贈です。包括遺贈では、受け取る側が借金などの債務も割合に応じて引き継ぐため、受け手の負担を考えると、特定遺贈を基本に設計するのが親切です。

不動産の遺贈は「断られる」ことがある——清算型遺贈という方法

自宅マンションをNPO法人などに遺贈しようとしても、管理や処分の負担から受け取りを辞退されるケースは少なくありません。そこで有効なのが、遺言執行者に不動産を売却してもらい、その代金を渡す「清算型遺贈」という方法です。受け手の負担なく、ご自身の想いを金銭というかたちで確実に届けられます。

遺言執行者の指定が事実上必須

相続人がいない方の遺贈は、遺言の内容を実行する「遺言執行者」がいなければ、そもそも誰も手続きを進められません。遺言書の中で、信頼できる専門家を遺言執行者に指定しておくことが不可欠です。ウィルサポートでは遺言執行者の引き受けまで含めてサポートしています。

財産の行き先と「手続きの担い手」をセットで決める

遺言書で決められるのは、主に財産の行き先です。一方で、葬儀や納骨、住まいの片付け、役所への届出、ペットの引き継ぎといった死後の実務は、遺言とは別に、生前に専門家へ託しておく死後事務委任契約でカバーします。

  • 遺言書=財産を「誰に」残すか
  • 死後事務委任契約=死後の手続きを「誰が」行うか

この2つをセットで備えることで、相続人がいない方の終活は完成します。詳しくは死後事務委任契約とは?費用・依頼できること・手続きの流れの記事をご覧ください。

よくある質問

Q. 甥や姪がいる場合も「相続人がいない」に当たりますか?

A. いいえ。兄弟姉妹が亡くなっていても、その子である甥・姪は代襲相続人になります。甥・姪もいない場合に、相続人不存在となります。ご自身に相続人がいるかどうか分からない方は、戸籍調査からお手伝いできます。

Q. 財産より借金の方が多い場合はどうなりますか?

A. 清算手続きの中で、残った財産の範囲で債権者への支払いが行われます。債権者側から清算人選任の申立てがなされるケースが典型です。

Q. 国や自治体、公的機関に寄付したい場合は?

A. 遺言による遺贈で可能ですが、団体によって受け入れの条件(現金のみ、など)が異なります。生前に受け入れの可否を確認し、清算型遺贈も視野に設計しておくと確実です。

Q. 一度書いた遺言書は変更できますか?

A. 判断能力があるうちは、何度でも書き直せます。お気持ちや財産状況の変化に応じて見直しましょう。

Q. 認知症になってからでは遅いのでしょうか?

A. 遺言の作成には「遺言能力」(内容を理解し判断する力)が必要です。判断能力が低下してからでは作成できなくなるおそれがあるため、お元気な今のうちのご準備をおすすめします。

まとめ:あなたの財産の行き先は、あなたが決められる

  • 相続人がいない財産は、長い清算手続きの末に国庫へ。その額は2024年度に約1,292億円、10年で約3倍に
  • 手続きには申立人と予納金が必要で、備えがなければ周囲に負担がかかる
  • 特別縁故者制度は不確実。内縁のパートナーや恩人に残すには遺言書が唯一確実な方法
  • 遺贈は「特定遺贈を基本に」「不動産は清算型遺贈も検討」「遺言執行者の指定は必須」
  • 財産の行き先(遺言書)と手続きの担い手(死後事務委任契約)をセットで備えて完成

ウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂)は、おひとりさまの終活支援を専門としています。遺言書の作成から遺言執行者の引き受け、死後事務委任契約、見守りサービスまで一貫してサポート。ご相談は無料。お電話は平日10時〜18時、メール(お問い合わせフォーム)は365日受け付けており、土日祝の面談(要事前予約)や訪問でのご相談(基本無料、遠方は応相談)にも対応しています。


執筆:ウィルサポート株式会社(東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号オザワビル6階/提携:神楽坂法務合同事務所)

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